年度の実績

国家財政の継続性を確保する:政府単一口座の残高が黒字であるよう毎日管理

政府単一口座を毎日綿密にフォローする

国の手持ち資金は「国庫口座」と呼ばれる政府の単一口座で一元化して管理され、この単一口座には 、それぞれ単数か複数の勘定口座を持つ5000人ほどの公会計官が実施する資金受払が、記入されます。

2017年12月31日現在、5988の勘定口座が国庫口座を構成していました。

国庫口座の受払とは以下に関るものです。

  • 国家予算の歳入・歳出
  • 手持ち資金を国庫口座に預ける「国庫預託元」、即ち資金を国に預ける機関の受払
  • フランス国債庁が実施するオペレーション(満期償還・利払い・運用・マージンコール…)

2017年度国庫口座資金フローの内訳

TREASURY ACCOUNT CREDITS AND DEBITS IN 2017

出自:フランス国債庁

国債庁は、国の単一口座に記入されることになる資金受払が必ず可能であるよう、最大限の安全性を確保するべく注意深く手持ち資金を管理します。そのため国債庁はフランス銀行に開設された国の単一口座の受払実行をリアルタイムで追跡します。2016年度資金フローは、1日平均178億ユーロに達しました。

手持ち資金の積極的管理は未だ続くユーロ圏の低金利環境を反映

フランス国債庁の手持ち資金管理は毎日の資金予測に基づきます。これにより、近々国庫口座から落ちる金額をカバーするのに必要な資金を見積ることができます。

公的資金を無駄にしないために、フランス国債庁は国の資金を積極的に管理します。一時的な余剰資金は銀行間市場で運用を図り、取引先の提示利息が、そのリスクプロフィールを考慮に入れた上でフランス銀行の現金預金金利に比べて有利であるなら、貸付や国債レポ預りを利用して運用します。

極めて緩和的な金融政策下ではユーロ圏銀行間市場の流動性が潤沢であるため、フランス国債庁からの貸出に対する取引先銀行の関心は低下しています。こうした環境は2015年度もフランス国債庁の運用額に影響し、運用額は平均182億ユーロとなり、カウンターハートとの年間取引数ではおよそ3500件でした。

流動性は2017年度を通じてさらに増大しました。その結果、上半期のAPTは69億ユーロ、下半期には61億ユーロとなりました。年間合計取引件数は500件でした。

2017年度の余剰資金運用:短資運用タイプ別(フランス銀行口座残高利息を除く)

INVESTMENT OF SURPLUS CASH IN 2017

出自:フランス国債庁

短期国債残高減少により、金利リスク・エクスポージャーは低下

低金利環境により、中長期国債公募入札発行時に多額の発行プレミアムを入金しました

フランスAFTはこれらの状況にその戦略を適応させました。 発行プレミアムによって生み出された追加の資金源は短期債務の削減に使用され、年度末に短期国債の残高は75億ユーロ減少した。 前年度末と比較した今年度。 これにより、政府による金利リスクへのエクスポージャーを減らすことができました

国庫預託元の預入は安定した資金調達源

国庫単一口座への手持ち資金預託が義務付けられている機関1、もしくは任意に預託できる機関を国庫預託元と呼びます。2017年12月31日現在、「未来の投資」勘定を除外して、国庫預託元の預金残高は1023億ユーロでした。この流動資金は政府の手持ち資金源となります。

国庫預託元口座の資金移動は、国債庁が日々管理する国庫単一口座の残高に直にひびきます。国債庁は毎日国庫預託元から入る資金移動予告を監視し、国庫口座預託金移動の実施日と金額を細密に把握することにより国庫口座の資金増減フローの予測をたてることができます。特に地方自治体と公的事業団は、100万ユーロ以上の資金移動について前日16時までにフランス国債庁に予告する義務を負います。2017年度には地方自治体と公的事業団からの予告率は98.5%でした。これは2017年度の年次財政法のパフォーマンス目標を上回るものでした。

2011年に «super-validation» と呼ばれる制度が導入され、国の手持ち資金管理の安全性に貢献しています。この制度により、100万ユーロを超える支払いが前夜までに予告されなかった場合、国債庁はその実施を翌日に延期することができます。前夜までに予告されなかったものでも、国庫単一口座残高にリスクがないと判断されるなら即時に支払を許可することもできます。その場合、支払いは«super-validate»されたといいます。2016年度には228のオペレーションが «super-validation» の対象となりましたが、これは資金フロー全体に比してわずかな件数であり、公的機関は規則を遵守しているといえます。

 

1 2012年11月7日の公的予算会計管理に関する政令により、公的な法人のほとんとに資金を国庫に預託することが義務付けられました。特に地方公共団体、公的事業団、公立病院に適用されます。政令は2014年6月30日に実施されました。