OATストリップス債(元本利子分離債)

債券のストリップス化とはクーポン支払を元本支払から分離し、元本+クーポンの数だけ表面金利ゼロの債券(ゼロクーポン債と呼ばれる)を作ることです。この手法により、元本とそれに付随するクーポンを別々に取引することが可能になります。

フランスは1991年に欧州の政府発行体として始めて、その発行債券のストリップス化を許可し、以来ユーロ圏におけるこの種の商品のベンチマーク発行体となりました。



市場の組織

OATストリップス債 (STRIPS) 市場は他の国債(OAT・BTAN・BTF)と同様に安全性・流動性を保証されています。Euroclear France社とSVTがフランス国債のストリップス化と再結合の管理を受託する事業法人 (GIE – 経済利益団体)を設立しました。GIEはストリップス化と再結合に関する規則を定めます。フランス国債庁は政府代表として役員会に参加しています。

この市場に参加するSVTはストリップス債のマーケット・メーカーの役割を務めると約束します。またOATストリップス債証書はEuronext Parisに上場されています。取引は、365日か366日ベ−ス (実日数/実日数) の複利式利回り(YTM)で行われます。価格は額面の百分率表示で小数点以下4桁に四捨五入します。

ストリップス債の支払い価格は以下の式で計算します。

Calcul FR.PNG

n = 満期までの年数

f = 受渡し日と次の10月(あるいは4月)25日までの日数を365か366で割った値

払込はEuroclear France, Clearstream International 又は EuroclearでT+2で行われます。

 

統合のルール

2009年末にフランス国債庁は市場の需要に応えるために、固定利付OATのストリップス化と組戻しオペレーションの新しいルールを定めました。新規則により、「統合型ゼロクーポン債証書」という、元本と利札を区別しない単一の証書を制定したのです。

OATはストリップス化されると、同一額面(0.01€)で、各々が元のOATのキャッシュフローに対応する期日の証書のセットとなります。同じ期日の証書はすべて統合可能となります。証書を組合わせて元のOATにしたり、合成OAT(異なった銘柄のOATの証書を組合せたもの)にしたりできます。異なったOATの利札証書は期日が同じであれば統合できます。

他方2013年1月1日以降発行されたゼロクーポン債は、ユーロ圏の全ての債券と同様に集団行動条項(CAC)付きであるため、2012年末までに発行された銘柄に統合することはできません。