概要

フランス国債庁による手持ち資金管理

政府と国庫預託元(地方公共団体や公的事業団等)の資金の受払は、フランス銀行に開設された「国庫口座」と呼ばれる政府の単一口座で一元化され、フランス国債庁がその毎日の運営を一任されています。

 

欧州連合におけるフランスのコミットメントに従い、政府の財務の継続性を確保する

フランス国債庁は国が常時、いかなる状況においても支払い義務を履行できるよう、必要な資金を確保する任務を担っています。

この安全性の大原則はユーロ圏諸国の中央銀行が公的機関に前貸しをすることを禁じる欧州機能条約 (TFEU) 第123条に規定されています。従ってフランス銀行の政府単一口座の帳尻は毎日終業時に黒字でなければなりません。

 

国際的にレベルの高い基準にかなう手持ち資金管理

政府の手持ち資金管理を最適化するために、フランスでは「集中化」と呼ばれる一元管理制度が実施されています。公的資金の一元管理は国際機関(特に世銀とIMF)が推奨する良い慣行です。フランスには発達した制度があり、国庫単一口座による管理がそれです。

政府のみならず公的機関の大半(地方自治地体、国と地方の公的事業団と公立病院等)には手持ち資金を国庫に預ける義務があります。他方、協定により国庫に手持ち資金の全部あるいは一部を預ける機関もあります。例えば欧州連合はその資金の一部をフランスの国庫に預けています。こうした機関を総称して「国庫預託元」と呼びます。

国庫預託元からの預かり残高は国庫にとって安定した資金源であり、政府の借入を抑制します。

公的手持ち資金一元管理を促進する

資金一元管理は、活用されない資金が蓄積することを避け、一般政府全体の債務削減を可能にします。従ってフランスの市場での借入金利に好影響をもたらし、政府の市場からの資金調達を軽減します。

公的財政の切り札となるだけでなく、預託元にとっても預金の完全な安全性といった利点があります。

納税者の利益のために手持ち資金を活用する

フランス国債庁は納税者のコストを最適化するために、予定される支払い額に予備の金額を加えた適切な資金を手元におくよう配慮します。

そのためにフランス国債庁は向こう1年間の資金フロー予測を常時アップデートします。毎晩翌日の資金フローの予測を立てます。そして入金・出金のフローを終日リアルテイムで把握します。

一元管理により、フランスは政府に関わる資金フローのみならず個々の国庫預託元独自の資金管理に由来する出入金をも監視します。そのために個々のフローを特定できる専用情報システムを利用しています。

手持ち資金管理戦略は最も安全な条件を確保して支払いを実施することですから、国庫単一口座には通常余剰金があります。余剰資金のコストを低減すべく国債庁は毎日銀行間市場でこの資金を運用します。運用形態は無担保貸付や国債レポ預りです。そして日中の市場条件を見て数回にわたり取引先に運用を申し入れます。