金利リスク
フランス国債庁は構造的に常時金利リスクに曝されています。議会が採択した予算赤字と国債満期償還を賄うために市場から資金を調達することを毎年議会から委任されるからです。このように恒常的にリスクに曝されているため、定期的で予見可能、かつ透明な発行政策を実施するに至りました。国債庁は金利の推移について市場の観点に立つことはしません。
カウンターパーティー・リスク
政府の取引相手は主としてSVT(プライマリーディーラー)です。2016年3月1日現在、16の銀行を数えます。世界の金融市場に活発に介入する大手機関です。
これら機関の堅固な財務基盤は、SVT選定基準の一つでした。さらにデフォルト・リスクを最小にするために、フランス法に基づく取引協定書が交渉されました。
協定書は先物取引とレポ取引でマージンコールを規定しています。
後者には二重の安全性があります。債券は国に移転されるのでデフォルトの場合は国が取得し、さらにマージンコールが債券の市価で毎日調整されるからです。
フランス国債庁の業務総合枠組は、取引相手の自己資本と格付けに応じたリスク限界を定義しています。
流動性リスク
政府は銀行と異なり流動性変換等の業務はしませんが、流動性リスクの管理はその発行政策と資金管理政策の中心的課題です。
発行市場においては、どのような状況でも債券市場へのアクセスを確保することが発行政策の目標となります。その基礎となるのが予見性・安定性・透明性の原則です。
資金管理は国の財務継続性確保を目的とします。すなわち、いかなる状況においても国が常時受払いを安全に履行できるよう、必要な手持ち資金を確保することです。政府の口座があるフランス銀行と調印した協定は、情報提供・安全性・中立性の原則を基本としています。規定により、15時以降に緊急受払が発生しても、それが口座残高を悪化させることはないと政府に保証しています。
国庫口座の受払の予見性を改善するために、フランス国債庁は100万ユーロ以上の出金についてオペレーション毎に予告を義務付ける制度を導入しました。
年度内の歳入と歳出の時期のずれに対処し国庫資金を綿密に管理するためには、BTF(固定利付国庫証券は満期数週間から1年までの短期国債ですが、必要ならば数日物も発行が可能です)の発行を調整します。余剰資金の運用は流動性が高い手段(無担保超短期貸付)や安全性の高い手段(国債預かりレポ、マージンコールがある)を利用します。
政府はまたユーロ圏の複数の加盟国や政府間機関と協定書に調印しており、二者間の短期資金貸借を交渉することができます。
また支払いリスクを管理するための内部限界も定義されました。
オペレーションリスク
EU規定n° 575/2013第4条1の52項の定義し従い、オペレーションリスクとは、手続き・職員・内部システムの不備やミスに由来する、あるいは法的リスクも含めた外部イベントに由来する、損失リスクに当たります。
オペレーションリスクを管理するためにフランス国債庁は一連の多様なツールを導入しました。
- 個々の主要手続きで実施すべき作業とコントロールを記述するマップが作成された
- 国庫総局長・フランス国債庁総裁が承認した総合業務枠組にフランス国債庁の業務遂行におけるプルデンシャル枠組が詳細に規定されている。
- 各班で作業の進め方が文章化された。
- 異常追跡データベースをその都度アップデート
- 段階的業務継続計画が作成され、テストが実施され、定期的にアップデートされている
- 内部監査計画を作成し、リスクマップはアップデートされている
為替リスク
為替リスクはある通貨の基準通貨に対する相場変動に関わるリスクです。
為替レートが下がると外貨建て資産の価値が下がります。
フランス国債庁は為替リスクには曝されません。第三者に代わって交渉する外貨建て取引は、かならず同金額のヘッジを伴うか、あるいは第三者のための外貨建て支払いで国債庁がヘッジします(例:フランスの国連への拠出金の為替変動に対するヘッジ)。